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BUDファンドガイド:ASEAN・内地市場開拓のための香港政府補助金

概要: 発展品牌、升級転型及拓展内銷市場(BUD)専項基金は、香港で最大規模かつ最も広範なカバレッジを持つ中小企業発展補助制度です。政府は累積補助上限を段階的に引き上げており、現在の上限は企業あたりHKD 700万(3プログラム合算)となっています。50%のマッチング補助方式で運用され、政府と企業が合規プロジェクト費用を折半します。香港法人を活用して内地市場やASEAN展開を戦略的に進める企業にとって、BUDは現在香港政府が提供する最大の単一資金プールのひとつです。


一、BUDファンド2プログラムの概要

BUD専項基金は香港工業貿易署(TID)と香港生産力促進局(HKPC)が共同管理し、2012年に設立されました。当初は内地市場のみを対象としていましたが、香港の自由貿易協定(FTA)ネットワークの拡大に伴い、ASEAN諸国をはじめとするFTA経済圏が順次組み込まれました。

内地計画 vs. ASEAN(FTA)計画 比較表

比較項目 内地計画 FTA(ASEAN)計画
対象市場 中国内地(本土) ASEAN10ヵ国、豪州、NZ、中東、その他FTA締約国(40ヵ国超)
補助率 合規費用の50% 合規費用の50%
1プロジェクト最大政府補助 HKD 100万 HKD 100万
累積上限(3プログラム合算) HKD 700万 HKD 700万
典型的な活動 ブランド登録・中国市場マーケティング・生産ライン改善 展示会参加・現地代理店開拓・ASEANEC構築
申請難易度 高(詳細な事業発展計画書が必要) 高(同左)

日本企業の視点: BUDの特筆すべき点は、香港法人を「ハブ」として活用することで、日本の親会社がASEAN市場進出コストをBUD補助でカバーできる仕組みを構築できることです。


二、補助対象活動の詳細

BUDの補助範囲は非常に広く、企業発展の多次元をカバーしています。

2.1 ブランド・マーケティング関連

活動カテゴリ 合規活動の例
ブランド構築 ブランド戦略策定、商標登録(対象市場)、ビジュアルアイデンティティ開発
展示会・商談会 国際見本市への出展費用(ブース代・渡航費・輸送費)、海外バイヤー招聘
デジタルマーケティング ECプラットフォーム入会・運営費(天猫国際、Lazada、Shopeeなど)、SNSマーケティング
市場調査 対象市場での消費者調査、競合分析、参入可能性調査

2.2 業務改善・認証取得

活動カテゴリ 合規活動の例
製品・サービス認証 対象市場での品質認証取得(ISO、CE、HALAL認証等)
生産ライン改善 品質向上・コスト削減のための製造プロセス最適化
技術システム導入 ブランド・市場拡大目標と連動したITシステム(CRM、EC基盤等)

2.3 法務・法人設立費用(重要な対象項目)

BUDの特徴的な補助対象に、対象市場での法人設立・登記にかかる費用が含まれます。 これは多くの補助制度では対象外となる費用であり、ASEAN拠点設立を計画する日本企業にとって特に有用です。


三、申請資格と書類

3.1 申請資格

BUDに申請できるのは以下の要件をすべて満たす企業です:

  1. 香港商業登記:有効な香港商業登記証を保有
  2. 非上場企業:香港聯合取引所の上場企業・子会社は対象外
  3. 事業と地域の関連性:プロジェクトが内地または対象FTA経済圏への市場拡大・業務改善に直接関連していること
  4. 香港での実質的な事業運営:ペーパーカンパニーや純粋持株会社は対象外

3.2 主要申請書類

書類 備考
商業登記証(BR) 有効期間内のもの
直近2期分の監査済財務諸表 新設会社の場合は管理会計でも可
事業発展計画書(BDP) プロジェクトの目標・活動・予算・期待成果を詳述——最重要書類
見積書・プロポーザル 各主要活動について2社以上の見積書
関連市場での過去実績証明 既存の内地・ASEAN取引の証拠(ある場合)

四、申請フローと審査タイムライン

4.1 標準的な申請フロー

事前準備(事業発展計画書の作成)
    ↓
オンラインシステムで申請書提出
    ↓
TID/HKPCによる書類審査(2〜4週間)
    ↓
面接・プレゼンテーション(大規模プロジェクトの場合)
    ↓
承認通知(通常30営業日以内)
    ↓
協定締結・前払金受領(最大25%)
    ↓
プロジェクト実施(承認後18ヶ月以内)
    ↓
完了報告書提出・残額請求

4.2 審査タイムラインの目安

ステージ 所要時間
書類審査 約4〜6週間
承認通知(通常) 30営業日以内(約6週間)
補完書類が必要な場合 2〜4ヶ月
プロジェクト実施期間 承認後最大18ヶ月

五、最大化戦略:両プログラム同時申請

5.1 内地計画とFTA計画の同時活用

BUDの最大の特徴のひとつは、内地計画とFTA計画を同時に申請できることです(ただし累積上限HKD 700万は合算)。

戦略例:

フェーズ 計画 活動 予算規模
Phase 1 内地計画 広州展示会参加・天猫国際入会・中国商標登録 HKD 100万(政府負担50万)
Phase 2 FTA計画 バンコク・ジャカルタ展示会参加・ASEAN代理店開拓 HKD 100万(政府負担50万)
Phase 3 内地計画 内地ECプラットフォーム本格運営・KOLマーケティング HKD 100万(政府負担50万)

このような段階的活用で、総補助額HKD 700万を3〜5年かけて最大化する戦略が可能です。

5.2 BUDとTVP(技術バウチャー)の併用

TVPが稼働していた時期、BUDとTVPの併用申請が可能でした(同一プロジェクトへの重複申請は不可ですが、別プロジェクトとして申請は可能)。TVPが2024年末に終了した現在、BUDは技術関連プロジェクトにも対応しています——ただし、技術導入はブランド・市場拡大目標との連動が必要です。


六、日本企業の活用ケース

ケース1:大湾区(GBA)進出の日本系消費財メーカー

香港法人を設立後、BUD内地計画を活用して深センの展示会への出展費用と中国商標登録費を申請。補助金で実質費用を半減させ、残余資金をオンライン販売チャネルの開発に充当。補助総額:HKD 80万(自己負担HKD 80万、政府負担HKD 80万)

ケース2:ASEAN展開を目指す日本系ITソリューション企業

香港のアジア太平洋本部を通じて、シンガポール・タイ・ベトナムへの市場開拓活動にBUD FTA計画を申請。現地法人設立費用・法務費・バイヤー商談会費が対象に。3ヵ国同時進出のコストを大幅圧縮。

ケース3:日本の食品・飲料ブランドの香港→ASEAN展開

香港でのブランド構築実績を活かし、ASEAN各国のHALAL認証取得費・現地パートナー招聘費・展示会出展費をBUDで申請。日本の輸出バウチャー制度と組み合わせることで二重の公的支援を享受。


七、BUDと日本の輸出支援制度との比較

制度 機関 補助率 上限 対象
BUD専項基金(香港) TID/HKPC 50% HKD 700万 香港登記企業
中小企業海外展開支援(ジェトロ) JETRO 補助率様々 制度により異なる 日本企業
ものづくり補助金(海外展開枠) 中小機構 最大2/3 最大750万円 日本中小企業

日本企業への推奨: 日本の親会社がJETRO支援を活用し、香港子会社がBUDを活用するという「二段階」の公的支援活用が理論上可能です。ただし、各制度の資金使途・重複申請制限を専門家に確認することが不可欠です。


八、よくある質問(BUD)

Q:BUDとEMF(輸出マーケティング基金)の違いは? EMFは費用の事後精算(報告書提出後の払い戻し)で申請が相対的に簡単ですが、上限が低い(HKD 80万)。BUDは事前審査・計画書提出が必要ですが、補助上限が大きく(HKD 700万)、法人設立費や認証取得費なども対象となります。

Q:英語の申請書は受け付けられますか? はい、申請書は英語・繁体字中国語のいずれでも提出できます。日本語のみでは不可ですので、英語か中国語で作成してください。

Q:採択率はどの程度ですか? 公式には公表されていませんが、業界情報では書類が整った案件の採択率は60〜75%とされています。不採択の主因は、事業発展計画書の目標・活動・予算の整合性不足です。


本記事はhkguide.org編集チームが管理し、香港政府の公開情報に基づいています。政策に変更が生じた場合は、最新の公式発表を優先してください。

公式リソース: